障害福祉分野の人材不足に対する緊急的な賃上げ支援
【経営者必読】
令和7年12月開始・障害福祉緊急支援事業
最大80%超の衝撃と、失敗しない賃上げ設計のポイント
障害福祉サービスを経営する皆様、こんにちは。
行政書士の 岡本真裕美(行政書士オフィスカノン) です。
令和7年12月26日、こども家庭庁より
「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」 の詳細が正式に通知されました。
令和8年度の報酬改定を待たずして実施される今回の支援策は、
過去に例を見ない水準の高い交付率が設定されており、
経営判断ひとつで 今後の採用競争力・人材定着率が大きく左右される局面 に入っています。
本記事では、
「知らなかった」では済まされない経営上の急所を、実務家の視点で解説します。
1. 異例の「交付率」がもたらす経営へのインパクト
今回の緊急支援事業の最大の特徴は、
補助率(交付率)の異常なまでの高さです。
- 児童発達支援・放課後等デイサービス:18.5%
- 障害児相談支援:47.0%
- 福祉型・医療型障害児入所施設:80.8%
これらは 月間の報酬総額に乗じて算定 されるため、
事業規模によっては 数百万円単位の原資 となります。
人材流出が深刻化する中、
この原資を
- 単なる一時金で終わらせるのか
- 「選ばれる職場」づくりに転換できるか
が、令和8年度以降の生存戦略を決定づけます。

2. 経営者が注意すべき「3つの実務リスク」
高い補助金には、それ相応の管理責任と判断リスクが伴います。
特に注意すべきポイントは、次の3点です。
① 基本給アップか、一時金(手当)か
国は「基本給での改善」を強く推奨しています。
しかし経営者として無視できないのが、
一度上げた基本給は、原則として下げられない
(不利益変更の法理)
という労務上のリスクです。
令和8年度以降の報酬体系が未確定な現段階では、
基本給+調整手当(期限付き)を組み合わせた設計が、
現実的かつ安全な選択肢となります。
② 相談支援事業所の「加算未取得」問題
これまで処遇改善加算の対象外だった
障害児相談支援 も、今回は支援対象に含まれます。
ただし条件として、
- 処遇改善加算Ⅳ相当の体制整備
- 就業規則の整備
- キャリアパスの構築
が求められます。
裏を返せば、これは
👉 「国の資金を使って社内規程を整備できる絶好の機会」
でもあります。
誓約すれば
「令和8年度中に職場環境改善要件を整える」
と要件を満たすことを誓約すれば、本補助金の受給は可能です。
しかし、実際に取得できなかった場合は返還対象となる可能性があります。
見切り発車は非常に危険です。
確実に要件を満たせるかどうかのロードマップ策定が不可欠です。
3. 支給要件と賃金改善の基本ルール
■ 全額改善の原則
交付された補助金は、
- 法定福利費の事業主負担分を含め
- 全額を従事者の賃金改善に充てる必要があります。
既存人件費の穴埋めは認められません。
■ 配分の裁量と注意点
賃金改善の対象は、
- 福祉・介護職員
- 事務職員
- 送迎運転手 等
すべての従事者が対象となります。
ただし、
職務実態に見合わない 著しく偏った配分 は、行政指導・是正の対象となる可能性があります。

おわりに|「一時金」で終わらせないために
今回の緊急支援事業は、
**令和8年度報酬改定に向けた“前哨戦”**です。
- 賃金設計
- 規程整備
- ICT・業務効率化
をこの半年でどこまで進められるかが、
今後の経営の明暗を分けます。
制度の理解だけでなく、
**「どう設計すれば安全か」「どこで失敗しやすいか」**は
事業所ごとに異なります。
制度対応・賃金設計・規程整備についてお悩みの方は、
行政書士オフィスカノンまでお気軽にご相談ください。
現場と制度の両方を知る立場から、実務的にサポートいたします。


