【報酬改定後対応】処遇改善Ⅰの配分ルール
はじめに
障害福祉事業者の皆さまから、報酬改定後について、特に多いご相談がこちらです。
- 報酬改定後、処遇改善加算Ⅰ(イ)を取りたいけど、月給どれだけ上げればいい?
- 賞与にどこまで回していいの?
- 計画書はどう設計すれば監査で指摘されない?
この記事では、実務でそのまま使えるシミュレーションの考え方を解説します。
結論:Ⅰ(イ)は「逆算」で考えると簡単です
売上 × 加算率 → 月給にいくら回すか
で考えると、一気に整理できます。
① シミュレーション(就労継続支援B型の例)
前提条件
- 月間売上:300万円
- 加算Ⅰ(イ)(10.5%):315,000円
- 加算Ⅱ(ロ)(7.4%):222,000円
② 月給に充てるべき最低額
加算Ⅱ(ロ)の「半分以上」を月給で支給
222,000円 ÷ 2 = 111,000円
最低ライン:月給配分 111,000円
③ 配分の全体像(例)
| 項目 | 金額 | 割合 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 月給(必須) | 111,000円 | 約35% | 基本給・資格手当 |
| 自由配分 | 204,000円 | 約65% | 賞与・一時金 |
| 合計 | 315,000円 | 100% | 加算Ⅰ(イ) |
ポイント(ここが重要)
50%じゃないです
❌ 加算総額の50%
ではなく
加算Ⅱ(ロ)の半分
④ 月給配分割合の考え方(重要)
サービスによって処遇改善加算の加算率は異なるため、一律に「何%」とは言えません。
ただし、加算Ⅰ(イ)を算定する場合は、加算総額のおおむね35%〜39%程度を月給賃金として配分することで、要件を満たすケースが多いと考えられます。
加算額の半分(50%)を月給にしなければならないわけではありません。
加算Ⅰ(イ)を取得する場合は、
残りの約6割前後を賞与や一時金として柔軟に配分できる余地があるというのが実務上のポイントです。
⑤ サービス別の目安
就労継続支援B型
- 加算Ⅰ(イ):10.5%
- 加算Ⅱ(ロ):7.4%
- 必要月給配分:約35.2%
児童発達支援
- 加算Ⅰ(イ):15.2%
- 加算Ⅱ(ロ):11.7%
- 必要月給配分:約38.5%
放課後等デイサービス
- 加算Ⅰ(イ):15.5%
- 加算Ⅱ(ロ):11.9%
- 必要月給配分:約38.4%
共同生活援助(グループホーム)
- 加算Ⅰ(イ):16.3%
- 加算Ⅱ(ロ):12.1%
- 必要月給配分:約37.1%
生活介護
- 加算Ⅰ(イ):9.3%
- 加算Ⅱ(ロ):6.7%
- 必要月給配分:約36.0%
⑥ この仕組みをどう理解すればいいか
加算Ⅰ(イ)は上位区分のため、受け取れる加算総額は大きくなります。
一方で、月給賃金として配分しなければならない最低額は、加算Ⅱ(ロ)を基準に計算されます。
その結果、
- 加算は多くもらえる
- 月給で必ず払う額はⅡ(ロ)基準
- 差額を賞与に回せる
月給配分の負担が相対的に軽く見える理由はここにあります。
注意点(重要)
ここで示した割合はあくまで目安です。
- サービス類型
- 売上構成(基本報酬・加算)
- 既存の処遇改善の配分状況
- 純増要件
- 現在の給与体系
「35%払えばOK」と単純判断するのは危険です。
必ず個別のシミュレーションを行ってください。
⑦ 実務で一番重要なポイント
計算より「設計」が重要です
キャリアアップ制度との整合性
- 基本給で上げるか
- 手当で調整するか
- 等級差の設計
給与体系との整合性
- 新人だけ給与アップ
- ベテラン逆転
- 資格者の優位性崩壊
不公平感は離職リスクになります。
固定給と賞与のバランス
- 月給:最低ライン
- 賞与:経営調整
全額月給は危険です。
⑧ よくある失敗
- 月給に入れすぎ → 固定費増大
- 配分ルール曖昧 → 監査リスク
- 設計なし → 赤字化
⑨ まとめ
- Ⅰ(イ)は逆算
- 月給はⅡ(ロ)の半分以上
- 目安は35〜39%
- 必ず個別設計
- 最重要はバランス
免責事項
本記事の数値は一例であり、実際の算定は各事業所の報酬構造・既存配分を踏まえた個別検討が必要です。


