放課後等デイサービスの大雨・台風対応|人員配置・加算・臨時閉所・BCP
今週の大雨、皆さんの事業所では、どのような影響がありましたか?
「利用予定12名だったのに、大雨の影響で実際に来たのは1名だけ……」
そんな放課後等デイサービスもあったのではないでしょうか。
大雨や台風、線状降水帯による局地的豪雨が発生したとき、
「利用者が1名なら職員も1名でいい?」
「職員が出勤できなかったら?」
「児童指導員等加配加算はどうなる?」
「いっそ臨時閉所にした方がいい?」
「売上がなくなった場合、何か補償はある?」
など、通常とは違う判断が必要になります。
今回は、放課後等デイサービスにおける大雨・台風時の人員配置、児童指導員等加配加算、臨時閉所、BCP、民間保険、事業継続力強化計画について整理します。
利用児童が1名でも、必要な基礎人員は?
通常の放課後等デイサービスで定員10名の場合、基礎人員として児童指導員又は保育士を2名以上配置する必要があり、そのうち1名以上は常勤である必要があります。
そのため、大雨によるキャンセルが相次ぎ、実際の利用児童が1名になったとしても、
「今日は利用者1名だから、職員も1名で」
とはできません。
利用者がほとんど来ない日であっても、人員基準は別に考える必要があります。
基礎人員が有給、加配職員が出勤していた場合は?
ここで注意したいのが、児童指導員等加配加算との関係です。
児童指導員等加配加算は、基準上必要となる人員を確保したうえで、それに「加えて」職員を配置していることが基本となる加算です。
例えば、
- 基礎人員1名が出勤
- 基礎人員1名が有給
- 加配職員1名が出勤
だった場合。
有給で休んでいる基礎人員を、その日の実際の基礎人員配置として数えることはできません。
そのため、出勤している加配職員が児童指導員又は保育士の要件を満たしているのであれば、その職員を基礎人員側に充て、必要となる2名を確保することになります。
すると今度は、
「加配として配置していた職員を基礎人員に充てた場合、児童指導員等加配加算はどうなる?」
という問題が出てきます。
児童指導員等加配加算は、あくまで「基準上必要となる人員に加えて配置」することが要件だからです。
このようなケースでは、常勤専従の区分でそのまま算定できるのか、常勤換算の区分で考えることになるのか、また大雨等によるやむを得ない事情についてどのような取扱いになるのか、指定権者への確認が必要です。
加配職員本人が有給の場合は?
一方で、
- 基礎人員2名は出勤
- 常勤の加配職員が有給
という場合は考え方が異なります。
国のQ&Aでは、常勤の加配職員が有給休暇等を取得した場合について、一定の要件のもとで欠如として扱わず、配置要件上計上できる取扱いが示されています。
つまり、「3人配置する予定だったのに、1人が有給だった」という情報だけでは判断できません。
「誰が休んだのか」
「基礎人員2名を確保できているのか」
「その基礎人員に加えて、加配職員を配置している状態を維持できているのか」
ここまで確認することが重要です。
大雨・台風の日は「臨時閉所」も選択肢
今回のように、
- 利用予定12名のほぼ全員がキャンセル
- 基礎人員となる職員も出勤できない
ということが早い段階で分かっていた場合には、その日の放課後等デイサービスを臨時閉所と判断することも一つの選択肢です。
利用者がほとんどいない状態で無理に開所し、人員配置基準や加配加算に問題が生じるリスクを避けるという考え方もあります。
もちろん、閉所すればその日の通常のサービス提供による売上は発生しません。
一方で、利用者1名のために必要な職員を配置して開所することが、事業所の経営として合理的なのかという問題もあります。
安全面、人員配置、利用者ニーズ、経営面を総合的に見て判断する必要があります。
放デイの閉所は、保護者の生活にも影響する
一方で、放課後等デイサービスを臨時閉所すれば、
「子どもの預け先がなくなり、仕事を休まなければならない」
という保護者もいます。
放デイは、子どもへの支援だけではなく、ご家族の生活にも密接に関係しています。
さらに、急な閉所となれば、事業所側も短時間で多くの保護者へ連絡しなければなりません。
だからこそ、「大雨になったら、そのとき考えればいい」ではなく、平時から判断基準を決めておくことが重要です。
BCPに「大雨・台風時の開所・閉所基準」を落とし込む
今回の大雨をきっかけに、BCPや非常時の連絡体制を見直そうとしている事業所もあります。
例えば、
- どの警報・避難情報を判断材料にするのか
- 何時までに開所・閉所を決定するのか
- 職員が出勤できない場合はどうするのか
- 送迎を中止する基準は何か
- 保護者への連絡は誰が、どの方法で行うのか
- 管理者が不在の場合、誰が判断するのか
などです。
BCPを「作成して保管している書類」にするのではなく、
「実際に大雨や台風が来た日に、管理者や職員が判断できるルール」
にしておくことが重要です。
BCPを見直すなら、民間保険も確認しておきたい
災害時に発生する損失は、建物の被害だけではありません。
放課後等デイサービスであれば、
- 施設や設備の浸水
- 送迎車の浸水・水没
- 臨時閉所による売上減少
- 利用者の大量キャンセルによる減収
なども考えられます。
特に放課後等デイサービスでは、送迎車は事業を継続するための重要な設備です。
「大雨で送迎車が水没した場合、現在の車両保険で補償される?」
「建物に被害はなくても、台風で臨時閉所した場合の減収は補償される?」
「利用者の大量キャンセルによる売上減少まで対象になる?」
こうした補償の範囲は、加入している保険や特約によって異なります。
BCPを見直す際には、現在加入している保険で「施設・送迎車・休業・減収」のどこまでカバーできるのか、保険会社や代理店に確認しておくとよいでしょう。
BCPと一緒に知っておきたい「事業継続力強化計画」
BCPとあわせて知っておきたいのが、中小企業向けの「事業継続力強化計画」の認定制度です。
中小企業が自然災害等への事前対策を計画としてまとめ、経済産業大臣の認定を受ける制度です。
認定を受けた事業者には、税制措置や金融支援、補助金審査における加点など、さまざまな支援策が用意されています。
また、一部の損害保険会社等では、認定事業者を対象として保険料の割引等を設けている場合があります。
※すべての保険が割引になるわけではありません。対象商品、条件、割引率などは保険会社によって異なるため、個別の確認が必要です。
BCPを「義務」から「事業を守る仕組み」へ
今後も、線状降水帯による局地的な豪雨は十分に起こり得ます。
放課後等デイサービスのBCPを、「義務だから作った書類」で終わらせるのではなく、
「実際に災害が起きたときに使える仕組み」
にしておくことが大切です。
人員配置はどうするのか。
送迎はどうするのか。
保護者にはどう連絡するのか。
施設や送迎車が被災したらどうするのか。
売上が止まった場合、資金面をどう守るのか。
そして、どこまで民間保険で備えるのか。
今回の大雨をきっかけに、
「明日また同じ大雨が来たら、うちの事業所はどうする?」
を一度、職員の皆さんと話し合ってみてはいかがでしょうか。
障害福祉事業所のBCPは、「作ること」がゴールではありません。
非常時にも利用者・ご家族・職員、そして事業そのものを守れるよう、実際に使える形にしておくことが大切です。
※本記事は、放課後等デイサービスにおける人員配置や災害時対応について、一般的な制度の考え方を整理したものです。個別の人員配置、児童指導員等加配加算の算定可否、大雨・台風時の特例的な取扱い等については、事業所の勤務形態等によって判断が異なる場合があります。実際の運用にあたっては、所管する指定権者へご確認ください。

