送迎車の税金が減免される?
「放課後等デイサービスの送迎車、自動車税が免除になるって聞いたけど本当?」
「定員6人以上の車じゃないと減免の対象にならないって言われた気がする…」
福祉事業所を運営される皆様から、よくこのようなご相談をいただきます。
結論から言うと、放課後等デイサービスなどの送迎車は、自動車税の減免(免除)対象になります。しかし、「定員6人以上じゃないとダメか?」という疑問の答えは、事業所がある「県」によって異なります。
これは、障害福祉事業、放課後等デイサービスや就労継続支援B型の開業時、送迎車を購入するときにも、ぜひ知っておいていただきたい前提知識となります。
本記事では、東海3県(愛知県・岐阜県・三重県)で事業を展開する福祉事業者様向けに、各県で異なる自動車税の減免要件を徹底比較し、実務担当者がそのまま参考にできるレベルで解説します。
目次
- 1. 自動車税減免制度(公益減免)とは?
- 2. 共通する基本要件
- 3. 【比較表】愛知・岐阜・三重の減免要件の違い
- 4. 各県の詳細解説(特徴・必要書類・問い合わせ先)
- 5. よくある誤解:「定員6人以上じゃないとダメ?」
- 6. 申請者は社長本人じゃなくてもOK?
- 7. 申請の実務的なステップ(チェックリスト)
- 8. 注意点・落とし穴
- 9. まとめ
1. 自動車税減免制度(公益減免)とは?
自動車税の減免制度とは、一定の要件を満たす場合に自動車税(種別割・環境性能割)が全額または一部免除される制度です。福祉事業者(社会福祉法人や株式会社・合同会社などを含む)が、事業の用に供する自動車に対して受ける減免は、一般に「公益減免」と呼ばれます。
放課後等デイサービスや児童発達支援、就労継続支援などの障害福祉サービス事業は「第二種社会福祉事業」に該当するため、要件を満たせばこの制度を利用することができます。
2. 共通する基本要件
各県で細かなルールは異なりますが、以下の要件は3県で共通しています。
- 事業の対象:第一種または第二種社会福祉事業を経営する者が対象(放課後等デイサービス等は第二種社会福祉事業に該当)
- 使用目的:もっぱら利用者の送迎など、対象となる事業のために直接使用する自動車であること
- リース車の取り扱い:原則としてリース車は対象外(自社所有、または所有権留保付ローン購入等で「使用者」が法人である必要がある)
- 用途外使用の禁止:職員の通勤やプライベートでの利用など、事業目的以外での併用は認められない
3. 【比較表】愛知・岐阜・三重の減免要件の違い
ここからが本題です。3県でルールがどう違うのか、重要なポイントを比較表にまとめました。
| 確認項目 | 愛知県 | 岐阜県 | 三重県 |
|---|---|---|---|
| 乗車定員要件 | 特段の数値要件なし | 明記された数値要件なし | 乗用車は6人乗り以上必須 |
| 車体表示(施設名等) | 必須(マグネットなど着脱容易なものは不可) | 要確認(写真提出は必須) | 必須(両側面に1文字5cm平方以上で表示) |
| 運行状況の証明等 | 定員等の概要パンフレット等 | 送迎路線図や運行範囲図の提出が必要 | 運行簿の作成・使用状況の記録が必須 |
| 減免の対象税(※1) | 自動車税 | 自動車税の全額 | 種別割は全額減免 環境性能割は課税 |
| 次年度の更新手続き | 変更がなければ継続 | 毎年1月下旬送付の「減免はがき」で返信 | 要確認(変更がなければ継続) |
※1 軽自動車税は各市町村の管轄となるため、要件が異なる場合があります。
4. 各県の詳細解説(特徴・必要書類・問い合わせ先)
問い合わせ先は、実務上とても重要です。特に新規取得時の申請期限や、車体表示・提出書類の扱いは県ごとに差があるため、 購入前または登録前の段階で電話確認しておくと安心です。
■ 愛知県の場合
愛知県は、車体への表示要件が厳格に定められているのが特徴です。
- 特徴:車体に当該事業を経営する施設の名称が表示されている自動車であることが明確な条件です。マグネットシートのように簡単に着脱できるものは対象外となりますので、カッティングシート等の施工が必要です。
- 主な必要書類:免除申請書、定款・履歴事項全部証明書、車検証写し、事業の指定通知書写し、施設概要パンフレット、申請車両の写真(登録番号と施設名表示が確認できるもの)。
💡 問い合わせ先(愛知県)
愛知県は車検証の登録住所・ナンバーにより管轄が分かれます。事前確認の際は、車検証の登録住所とナンバーを手元に置いて電話するとスムーズです。
- 名古屋東部県税事務所:(052)953-7847
- 名古屋北部県税事務所:(052)531-6305
- 名古屋西部県税事務所:(052)362-3215
- 名古屋南部県税事務所:(052)682-8924
- 西尾張県税事務所:(0586)45-3170
- 知多県税事務所:(0569)89-8176
- 東尾張県税事務所:(0568)81-3139
- 西三河県税事務所:(0564)27-2712
- 豊田加茂県税事務所:(0565)32-7483
- 東三河県税事務所:(0532)35-6130
■ 岐阜県の場合
岐阜県は、運行実態の証明方法として「路線図」を求める点に特徴があります。
- 特徴:乗車定員についての数値的な規定は明記されていません。しかし、事業に直接使われていることを証明するために、送迎路線や運行範囲を示す書面の提出が求められます。また、毎年「減免はがき」による更新手続きがあります。
- 主な必要書類:申請書、車検証記録事項の写し、定款・登記簿謄本、事業所の指定通知書写し、送迎路線図、車両の写真(前・後・横各1枚)。
💡 問い合わせ先(岐阜県)
- 岐阜県自動車税事務所 課税管理係:058-279-3781(岐阜市日置江2648-3)
- 岐阜県飛騨県税事務所 自動車税出張所:0577-36-1400(高山市新宮町830-7)
※ 飛騨地方の事業所は、飛騨県税事務所自動車税出張所への確認が便利です。
■ 三重県の場合
三重県は、車両の定員と税金の種類(環境性能割)に関して厳しい条件があります。
- 特徴:乗用車の場合は「6人乗り以上」が必須条件として明記されています。また、取得時にかかる「環境性能割」については課税対象となり、毎年の「種別割」のみが全額減免となります。さらに、日々の運行簿作成が義務付けられています。
- 主な必要書類:減免申請書兼使用計画書(2部)、定款・登記簿謄本、減免対象車両の写真(車体の両側面に事業者名等1文字5cm平方以上で表示)、等。
💡 問い合わせ先(三重県)
自動車税(種別割・環境性能割)の個別具体的な内容は、まず三重県自動車税事務所への確認が実務上わかりやすいです。
- 三重県自動車税事務所 業務課:059-253-8056
- 三重県自動車税事務所 課税課:059-253-8057
地域別の県税事務所電話番号を見る
- 桑名県税事務所:0594-24-3613
- 四日市県税事務所 課税一課:059-352-0577
- 鈴鹿県税事務所 課税課:059-382-8662
- 津総合県税事務所 課税二課:059-223-5024
- 松阪県税事務所 課税課:0598-50-0511
- 伊勢県税事務所 課税課:0596-27-5129
- 伊賀県税事務所 課税課:0595-24-8024
- 紀州県税事務所 課税課:0597-23-3419
5. よくある誤解:「定員6人以上じゃないとダメ?」
⚠️ 県によって回答が異なります!
三重県の場合:YES(6人乗り以上が必須)
三重県では規定に明記されているため、5人乗りのコンパクトカーや軽自動車では社会福祉事業用の公益減免を受けることはできません。
愛知県・岐阜県の場合:NO(必須ではない)
愛知や岐阜では、「6人乗り以上でなければならない」という条文上の縛りはありません。そのため、5人乗り車両でも、送迎路線図の提出や車体表示、運行簿の記録などにより「送迎専用」であることが明確に証明できれば申請可能です。
6. 申請者は社長本人じゃなくてもOK?
「減免申請は社長(代表取締役)が平日に窓口へ行かないとダメですか?」というご質問もよくいただきますが、実際の手続きは事務担当者や施設長などでも問題ありません。
申請書の「申請者(納税義務者)」欄には、法人の名称と代表者氏名を記入し、法人印(または代表者印)を押印します。申請の主体はあくまで「法人」であるため、書類が正しく作成されていれば、窓口に持参するのは社内の担当者でOKです。マイナンバー等の個人情報を扱わない公益減免の手続きでは、委任状が不要なケースがほとんどです(気になる場合は事前に関係窓口にご確認ください)。電話確認の際は、「代表者本人ではなく事務担当者が持参予定です」と伝えておくと、当日の持ち物確認まで一度に済ませやすくなります。
7. 申請の実務的なステップ(チェックリスト)
📋 減免申請に向けた準備チェックリスト
- 車両の手配方法の確認:リース契約になっていないか確認する(ローン購入で所有権留保の場合は可)。
- 車両定員の確認:三重県の場合は6人乗り以上であるか。愛知・岐阜の場合は運用に合わせた車両か。
- 車体への表示施工:県指定のルール(三重県は5cm角以上、愛知はマグネット不可など)に従って、カッティングシート等で施設名を印字する。
- 車両の写真撮影:ナンバープレートを取り付けた後、前・後・横(施設名表示が分かるよう)から写真を撮影する。
- 必要書類の収集:定款、履歴事項全部証明書、事業所の指定通知書などをコピーする。
- 運行関係書類の準備:岐阜県なら送迎路線図、三重県なら使用計画書・運行簿のフォーマット等を準備する。
- 管轄事務所へ提出:新規取得時は「登録の日」、既所有車両は「納期限(通常5月末)」までに窓口へ書類を提出する。
8. 注意点・落とし穴
- 新規取得と既所有車で期限が違う
新たに車両を購入する場合は、陸運局での「登録の日」に減免申請を同時に行う必要があります。後からの申請では、その年度の減免が受けられない、あるいは月割りになってしまうことがあるため、ディーラーや販売店と事前にしっかり打ち合わせをしておきましょう。 - 軽自動車税は管轄が違う
本記事は「都道府県」が課税する自動車税(普通車等)を基準に解説しています。軽自動車の場合は、課税主体が「各市町村」になるため、市役所・町村役場の税務担当課へ個別に確認と申請を行う必要があります。
9. まとめ
放課後等デイサービスなどの送迎車に対する自動車税減免は、福祉事業者にとって大きな経費削減につながる重要な制度です。
しかし、「定員6人以上必須(三重県)」、「マグネット表示不可(愛知県)」、「送迎路線図の提出(岐阜県)」など、隣接する県であってもローカルルールが大きく異なります。「他の事業所の人がこう言っていたから」と思い込まず、必ず自社の事業所がある県(軽自動車の場合は市町村)のルールに沿って準備を進めましょう。
確実に減免を受けるためには、車両を購入・契約する前の段階で、一度管轄の県税事務所へ電話で確認することをおすすめします。

お気軽にお問い合わせください。
【免責事項】
本記事は2026年5月時点での各県公式公開情報(愛知県、岐阜県、三重県HP)に基づいて作成しています。税制や各自治体の運用方針は年度によって変更される場合があります。実際に車両の取得や申請手続きを行う際は、必ず管轄の県税事務所・市町村窓口や各自治体の公式ウェブサイトで最新の一次情報をご確認ください。


